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株式会社TKC発行企業向け情報誌「戦略経営者」5月号に掲載されました!

株式会社TKC発行企業向け情報誌「戦略経営者」5月号に掲載されました!

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2024年5月号に当事務所のお客様である、有限会社小倉水産食品様がご紹介されました。

大手企業への営業強化でヒット商品連発

日本でも有数の水揚げ量を誇る鳥取県境港で食品加工業を営む小倉水産食品。固定観念にとらわれない開発と営業でヒット商品を連発している。

 小倉水産食品は、隠岐の島出身の初代小倉吉夫社長が1955年、境港に移住し、イワシを原料にした煮干し屋を開業したのが始まりだ。2代目の小倉彌三郎は、豊かな海の幸を使った正直でおいしい食品づくりを探求。その思いを引き継ぐ3代目の小倉雅司社長は、「うまいものはうまい」と「国産、無添加、正直、手作り」をモットーにした食品づくりを心掛けている。
 「境港漁港で水揚げされた海の幸を使うことで、地域を大切にしたいというのが一番です。イカのワタと塩のみを使った塩辛は無添加へのこだわりの象徴となる商品。『境港のカニクリームコロッケ』はこだわりの低温殺菌牛乳と小麦粉からクリームを手作りしています。コストはかかりますが、食べてホッとする製品づくりを心掛けています」

製造中の『ホタルイカレバ刺し風』

製造中の『ホタルイカレバ刺し風』

ホタルイカを焼肉業界にPR

ホタルイカやサバなどを原料とした水産加工食品が人気

ホタルイカやサバなどを原料とした水産加工食品が人気

 マイワシの水揚げ量日本一だった1990年代までは、フライ用イワシの開きなどイワシ加工品がメインだったが、イワシ資源が激減した2000年代以降はイカやサバ、肉加工品などに生産品を拡充。ちりめんじゃこ入りのコロッケとしてロングセラーとなっている『これがみなとのじゃころっけ』、現在進行中で創業以来最大のヒットとなっている『炙(あぶ)り鯖(さば)ジャーキー』などの看板商品が生まれた。そんな同社で現在営業部門の責任者を務めているのは、小倉大造専務。従来とは異なる取引先や営業手法を採用している。例えば数年前から人気商品となっている『ホタルイカレバ刺し風』だ。

 「ある従業員が、ホタルイカにごま油をかけるとレバ刺しに味がそっくりになると教えてくれました。その話を聞いて社長が開発したのが、ホタルイカのワタの食感、ごま油とネギの組み合わせがレバーにそっくりな『ホタルイカレバ刺し風』です。全国展開の居酒屋チェーンでグランドメニューに採用されるなど売れ行きは好調です」(小倉専務)

 はじめから営業がうまくいったわけではない。まず、大口取引先の回転ずしチェーンに話を持ち掛けたが、不採用。ごま油を米が吸ってしまい、シャリがボロボロに崩れてしまったからである。そこで次に目を付けたのが焼肉業界だった。
 「この商品が売れるきっかけになったのは、焼肉業界向けの展示会でした。食品衛生法によって2012年から牛レバー肉の生食は禁止されています。かつては注文できたレバ刺しの味をホタルイカで再現することで焼肉店から注文が来ると考えたのです」(小倉社長)
 同社は東京・池袋で毎年開催されている大規模展示会「居酒屋JAPAN」にかつて出展したことがあった。コロナショックで停滞した営業活動を取り戻そうとコロナ明け1回目の22年に出展を計画。ところが、開催資料を読むと「焼肉ビジネスフェア」が併催されることが分かり、迷った末に焼肉ビジネスフェアに出展したというわけである。
 「最初はけげんな顔をしていたバイヤーも、試食してみると一様に『レバ刺しそっくりでおいしい』とその場で多くの注文をいただきました。展示をきっかけに供給するようになった企業では、いずれも売れ筋商品になっているそうで、原料ホタルイカの仕入れ価格上昇にともなう値上げも、すんなり受け入れてもらえました」(小倉専務)
 人気沸騰中の『炙り鯖ジャーキー』も新しい販売チャンネルにトライした結果売り上げ増につながった。ホタルイカレバ刺し風の販売先で、大手コンビニチェーンと懇意にしている取引先があり、その会社の営業部長から、「某メーカーのサバ製ジャーキーのサンプルを食べてみたが、とても店頭に並べられるクオリティーではない。小倉水産食品でおいしいものをつくれないか」と依頼されたのである。
「1日1商品開発」をモットーにしている小倉社長は二つ返事で引き受けた。
 「商品開発のノウハウと国産のサバがあればジャーキーを作れるという確信がありました。加えて当社には魚を開く、乾燥させる、炙るといった各工程を担う機械が一通りそろっています。すぐに試作品を食べてもらったところコンビニチェーンは即決。さらに地元の特産品を通信販売しているサイト『風味絶佳.山陰』を通じて販売したところ、これもヒットしました」

集合写真

左から小倉恵子常務、監査担当の米田悠太氏、小倉雅司社長、小倉大造専務、田中大志税理士

高級スーパーに狙いしぼる

 国産サバを原料にしたこれまでにない高品質ジャーキーである。価格は1袋で1080円(税込み)。高価格帯商品も取り扱う大手企業にねらいを絞って営業攻勢をかけた。結果、高級スーパーや大手量販店のプライベートブランド商品として次々と採用が決定。手作業で行っていた袋詰め作業が追い付かず、自動化装置の導入を検討するほど売れているという。
 税理士法人松本会計事務所の万全のサポート体制も好業績の一要因となっている。同事務所の田中大志税理士は小倉専務と同級生で、かつては同社でアルバイトとして汗を流した大親友でもある。
 「月次決算の数字をより早く確定したいという要望があり、『FX2クラウド』を導入しました。クラウドを介して事務所でも仕訳の内容をチェックできるので、よりスピーディーな月次決算が実現しています。その他『SX2』『PX2』等TKCシステムをフル活用されています。月次巡回監査では、変動損益計算書に基づき売り上げや限界利益の前年同月との比較、『継続MASシステム※ 』で作成した予算との比較を行っています。また今年に入り、四半期ごとの業績報告会も開催するなど、さらなる成長に向けたサポートを続けていきたいと考えています」
 4月から同社では数年ぶりとなる高卒新卒社員が2名入社するなど、明るいムードの小倉水産食品。次はどんなヒット商品が生まれるか楽しみである。

※TKC『継続MASシステム』… 経営者のビジョンに基づいた「中期経営計画」と、次年度の業績管理のための「単年度予算」、「短期経営計画」の策定を支援するシステム

有限会社小倉水産食品


業種:水産加工業
創業:1955年9月
所在地:鳥取県境港市中野町3258-19
売上高:約5億円
従業員数:25名(パート含む)